CNAプログラムではどんな授業をするの?州試験では何が出題されるの?

前回の記事ではCNAになるにはどのようなステップが必要か、必要経費はどの程度かなどをお伝えしました。今回の記事では、実際の授業内容や州試験の出題のされ方などをお伝えしていきます!

CNAプログラムではどんな授業をするのだろう?

CNAプログラムは州によって必要時間数が決められています。WI州は最低75時間以上+16時間以上の実習が求められます。教育機関は州の決まりに従って授業時間や内容を決定していくのですが、概ね100時間程度のスケジュールが平均的ではないかなと思います。

私が通っていた学校は、1日5時間の授業が週3日ありました。期間は10月下旬から12月中旬までの約2か月程度です。全ての授業が対面で実施されましたが、オンラインやハイブリッド形式でも実施しているようでした。

オリエンテーション~授業開始前のテキスト受け渡しDay~

アメリカではメジャーなようですが、私が通っていた学校では授業開始日の1週間前にオリエンテーションを称してテキストや重要書類の受け渡し日がありました。その学校のロゴが入ったナップサックが配布され、テキスト・ボールペン・メモ帳・授業で使用する冊子等が配布されました。

また、CNAプログラムを修了するために必要な実習を受けるために、指定のワクチン接種記録が必要です。ワクチンレコードを全て持参し、オリエンテーション日に担当スタッフに自身のワクチンレコードをチェックしてもらいました。抗体値/ワクチン接種歴の確認が必要だった感染症は以下です。

※州や教育機関によって異なりますので、正確な情報は該当する教育機関に確認してください

確認が必要な抗体値/ワクチン接種記録

  • Measles(麻疹)
  • Mumps(ムンプス)
  • Rubella(風疹)
  • Varicella (Chickenpox)(水疱瘡)
  • Hepatitis B(B型肝炎)
  • Meningococcal(髄膜炎菌)
  • Tetanus(破傷風)
  • Flu Vaccine(インフルエンザ)
  • Tuberculosis (TB)(結核)
  • COVID-19(コロナ)

抗体値/ワクチン接種歴の注意事項/補足

  • 水疱瘡は「罹患歴がある」のみでは抗体値ありとして認められないため、抗体値検査を実施する必要がある
  • インフルエンザワクチンはその場で、しかも無料で接種することができました
  • 結核に関して、BCGワクチンを受けていない方は皮膚テストを2回受けることで判断する。BCGワクチン接種者は抗体陽性になるため、胸部レントゲンを撮影することで結核罹患者でないことを証明しなければならない。

また、授業の一環としてオンラインで課題を提出する必要があるため、指定サイトのログインを予め実施する必要がありました。この日はログイン上の問題がないかなどの確認も行われました。

授業の様子

授業のスケジュールは教育機関によって様々だと思うのですが、私の通った学校では約5時間の授業の内、前半を座学、後半を実技の練習に時間を充てていました。

何故実技が多くの割合を占めているのかというと、CNA州試験で実技のテストもあるためです。「無視してはいけない手技・ポイント(例えば陰部洗浄後の手指衛生など)」が決められており、それを一つでも実技試験で落としてしまうとCNAになることはできません。そのため、看護ケアの手技やポイントを身体で覚えるため、多くの時間が実技に充てられていました。

基本的に通学の服装は自由でOKで、授業中の飲食もOKでした。日本の大学のような印象ですね。

生徒の方々は高校生・大学生が9割を占めていたのですが、皆自由に授業に関する発言や質問などをしており、積極的な姿勢が印象的でした。

座学ではどんなことを学ぶの?

授業ではこちらのテキストを使用しました。

約500ページほどの教科書ですが、各30ページほどのチャプターが24項目あります。授業では1日で3チャプター程度ずつ進めていくスケジュールでした。

内容は、生理学や看護ケアの手技・方法、臨床に関わる法律、人類文化学などです。心臓の働きなどの生理学から、体位交換や麻痺のある方の着脱衣等の看護ケア、守秘義務や虐待発見時の報告などの法律、宗教や人種を尊重したコミュニケーション方法や様々な文化を学ぶ人類文化学など、多くの分野の概論を学びました。

元々医療分野で働いた経験のある方や、医療に関する知識がある方には馴染みのある内容がほとんどかなと思います。

しかし、日本語での知識が十分でも、私の場合、英語での単語や表現に慣れることに中々時間がかかりました。例えば「チアノーゼ」を知っていても、英単語のcyanosisは「サイアノーシス」のように発音されるため、講師の話を理解するまでに時差が生じるなんてことが何度もありました。カタカナ英語、時にやっかいですね。

実技ではどんなことを学ぶの?

実技では主に、実技テストに出題される看護技術の演習を行います。以下の項目が州の実技テストで出題されるため、授業でしっかり学びました。

  • Applying an Anti-embolic Stocking to One of the Resident’s Legs (弾性ストッキング着用)
  • Assisting a Resident to Ambulate using a Gait Belt(歩行ベルトを使用した利用者の歩行介助)
  • Assisting a Resident who is Dependent with a Meal(食事介助)
  • Assisting a Resident with a Bedpan, with Hand Washing Required(差し込み便器使用介助)
  • Catheter Care for a Female Resident with Hand Washing Required(女性患者のバルンケア・陰洗
  • Denture Care-Cleaning Upper or Lower Denture(上下どちらかの義歯洗浄)
  • Donning an Isolation Gown and Gloves; Empty a Urinary Bag, Measure and Record Output and Remove Gown and Gloves with Hans Washing Required(PPE着脱、バルンの尿破棄と尿量測定)
  • Dressing Bedridden Resident with an Affected Side(麻痺のある患者の衣類着脱)
  • Foot Care for One Foot(足浴)
  • Mouth Care-Brushing Resident’s Teeth(口腔ケア介助)
  • Partial Bed Bath for Resident : Whole Face and One Arm, Hand and Underarm(顔、片腕、手、脇の部分浴)
  • Perineal Care for a Female Resident with Hand Washing Required(女性患者の陰部洗浄)
  • Positioning Resident in Bed on their Side(体位交換)
  • Range of Motion for Resident’s Hip and Knee(股関節・下肢の関節可動域訓練)
  • Range of Motion for One of Resident’s Shoulders(肩の関節可動域訓練)
  • Stand and Pivot Transfer a Resident from Bed to Wheelchair Using a Gait Belt(歩行ベルトを使用した患者のベッドから車いすへの移乗)
  • Vital Signs : Count and Record Resident’s Pulse and Respirations(脈拍・呼吸数の測定・記録)

太字の項目は必須項目で、WI州では5つの内どれか1つは必ず技術チャックを受けます。+上記からランダムで3~4つの技術がテストで出題されるため、手技をしっかり覚える必要があります。

演習室には演習用マネキンやベッドが十分な数用意されており、2~3人1組でペアになり、マネキンを使用しながらケアの練習を実施しました。

「WI Headmaster CNA」などと検索すれば「Wisconsin Nurse Aide Candidate Handbook」というPDFをダウンロードすることが出来ます。そこに最新の州試験の受験方法や実技テスト対象の各看護技術の手技が記載されているので、WI州のCNA州試験を受験をする方は必ずチェックすることをお勧めします。

実習ではどんなことをするの?

WI州は16時間以上の実習がCNAプログラムの修了条件のため、土日の2日間に総合病院へ実習へ行きました。服装指定がある教育機関もありますので、購入すべきスクラブの形や色指定など予めチェックしておきましょう。ペン・聴診器・メモ帳・携帯・飲み物・お金(昼食)があれば実習は乗り越えられると思います。

実習は日勤CNAのシャドーイングをしました。訪問した病院の日勤が6時~14時30分だったので、朝の6時集合、14時30分解散でした。

実習では患者さんのケアプランを確認し、バイタル測定、清潔ケア、トイレ介助、食介などを主に行いましたが、私の場合技術よりもコミュニケーションの問題が心にのしかかり、1日が長かったように感じました。

現地の学生さんたちは戸惑いなく堂々と実習に臨んでおり、更にはナースコールまで取るなど積極性が高く、驚いた記憶があります。

技術チェック表の記載はありましたが、日本の看護実習のような記録提出はなく、2日実習に出席して無事に教育機関の修了書を受け取ることが出来ました。

州試験ではどんな形式でどのような問題が出題されるのだろう?

座学・実技・実習を全てクリアすれば、残りは州試験のみです。

アメリカでCNA(看護助手)になるためには、州試験に合格しなければなりません。州試験なので、州に応じてテスト様式や内容は異なりますが、今回はWI州の州試験の詳細をお伝えしますね。

ちなみにWI州はCNA州試験を受験するためにはアメリカ国外の看護師資格を保有していても、指定の教育プログラムを受ける必要がありますが、州によってはプログラムをパスできる場合もあるようなので、各州の指定機関を調査してから臨むことをお勧めします。

試験に必要なサイトのアカウント登録もしくはログインを行う

WI州のCNA試験を受験するには、まずHeadmasterというサイトをチェックしましょう。このHeadmasterはWI州のCNA州試験に関する情報を提供している公式のサイトです。

Headmasterに「Welcome TMUⓒ Login」という項目があるので、そこをクリックし、「TMU Wisconsin」というサイトにアクセスします。

TMUにアクセスしたらアカウントを作成します。WIの州試験受験の要件が「指定プログラムの修了」のため、教育機関によっては予めアカウントを作成してくれている場合があります。

SSN(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)と米政府が発行した写真付きIDが必要なため、予め準備しておきましょう。SSNが必要なため、学生ビザで来米している方や観光目的で来米している方は受験できません。また、政府が発行した写真付きIDが必要なため、グリーンカードやアメリカ運転免許証、アメリカ州IDなどを準備しておきましょう。私は受験時期までにグリーンカードが届かなかったため、DMVという運転免許証やIDを発行してくれる政府機関へ行き、IDを入手しました。約1週間程度で手元に届くため、余裕を持って準備しておきましょう。

アカウントに自身の情報を入力し、教育機関が「この生徒は州指定の教育プログラムを修了し、州試験を受験する資格があります」という情報を入力すると、そこで初めて州試験料の支払いを行うことができます。

州試験料の支払いをしよう

プロフィール入力し終えると、州試験の料金支払いを行うことが出来ます。料金を支払わないと、受験日の選択が出来ません。アメリカでは、試験日の選択よりも最初に支払いを求められることがメジャーです。

WIの場合以下のように選択肢があります。

Exam DescriptionPrice
Knowledge and Demonstration/Skills$125
Audio Knowledge and Demonstration/Skills$130
Knowledge Only$34
Audio Knowledge Only$39
Demonstration/Skills Only$97.25
※Audioは視覚的に障害のある方が利用できるサービスです

「Knowledge and Demonstration/Skills」を購入すれば、筆記試験・実技試験を受験することが出来ます。筆記試験もしくは実技試験だけ再試験が必要、という場合は筆記もしくは実技の試験料金を単体で購入できるようになっています。

125ドルを支払い、そこで初めて試験日の選択を行うことが出来ます。

試験日を選択しよう

受験日が選択できるようになったら、受験日を決定しましょう。各日受験人数が限られているので、なるべく早く予約することをお勧めします。

州試験は筆記試験と実技試験の2つを受験する必要があるので、それぞれの日程を選択します。

筆記試験はオンライン受験なので、自分の空いている日時を選択すればOKです。実技試験は会場に行って受験しなくてはならないため、行くことが出来る範囲の試験会場を選択し、自分の空いている日時を選択しましょう。

私の場合、プログラムを受けた学校で実技試験が開催されることを知っていたため、プログラム修了後は一目散に試験料を支払い、試験日時を予約しました。多くの生徒がその学校で受験することを希望していたのですが、数に限りがあるため、遅くに予約をした子の中には別の場所に行って受験しなくてはならない子もいました。

筆記試験はどんな感じなの?

筆記試験は60分で75問の問題が出題されます。71点以上(53問以上正答)で合格です。

パソコンで受験する4択問題です。

オンラインですが、Zoomで試験官や他の受験者と繋いで受験します。音声もONにする必要があるため、私が受験した際は他の受験者の鼻をすする音や咳などが気になり少々集中力が欠けました…。

問題の内容としては、教科書内の知識が幅広く問われる印象でした。以下の項目を見ているようです。

  • Safety
  • Communication
  • Infection Control
  • Client Rights
  • Data Collection
  • Basic Nursing Skills
  • Role / Responsibility
  • Disease Process
  • Mental Health
  • Personal Care
  • Care Impaired
  • Aging Process and Restorative Care

実際の試験問題ではありませんが、質問のイメージは以下のような感じです。

Ms. Smith drank 4 ounces of water and 1 ounce of milk, totaling _ ml of fluid intake

A. 150 ml

B. 240 ml

C. 360 ml

D. 480 ml

Adhering to best infection control practices, after removing the resident from the bedpan, the NA should

A. Observe the urine/stool for any abnormalities

B. Assist the resident with proper perineal care

C. Assist the resident to wash and dry her hands

D. Measure and record the contents of bedpan

A liberalized diet

A. Considers the resident’s right to choose what they want to eat

B. Provides for resident choice for one meal a day

C. Allows the dietary to prepare whatever they choose to serve

D. Encourages more selection than what is listed on My Plate

試験結果は数日で出ますので、TMUのサイトを度々チェックしましょう。

実技試験はどんなことをするの?

実技試験は予約した会場で行います。

試験官から17項目の内、3~4項目の実技を実施するよう指示があるので、30分以内に全ての実技を行う必要があります。時間内に手技が終わらなかったり、各手技の重要ポイント(例えば陰洗後の手指衛生や、車いす移乗時のロック忘れなど)を無視してしまうと即失格となるため、気を付けて手技に臨む必要があります。

私は17項目の中から以下4つを指示され、実施しました。

  • 部分浴
  • 女性患者のバルンケア(陰洗)
  • 歩行ベルトを使用した患者のベッドから車いすへの移乗
  • 口腔ケア

丁寧に実施したせいか、かなり時間ギリギリとなってしまい、残り20秒程度で何とか終わらせることができました…!試験官の方は優しく、「あと5分しかないわよ!」と教えてくれたので助かりました。

重要ポイントでない部分を実施し忘れてしまった場合減点があるようですが、重要ポイントを全て押さえ、尚且つ80%以上手技が出来ていれば合格です。

こちらも合否はTMUのサイトに通知されますので要チェックです✓

州試験が終わったら、いよいよ就活!

筆記試験・実技試験に無事に合格出来れば、晴れてCNAとして働くことが出来ます!

私はCNAの教育プログラム修了後、2週間以内に州試験に挑みました。その試験勉強と並行して就職活動も行い、数か所に履歴書を送ったりしていました。

空いてるポジションにアプライしてから返信があったり面接の日程を組むまでにある程度時間を要するため、在学中もしくは州試験と同時進行しても問題ないと思います。

私は以下のようなスケジュールで過ごしていました。

CNAプログラム参加から就職までのスケジュール
  • 10月30日
    CNAプログラムの授業開始

    CNAプログラムに参加しながら、履歴書やカバーレター作成などを実施

  • 12月13日
    履歴書送付

    病院ごとではなく、病棟ごとに履歴書を送る必要があり、複数個所に送付

  • 12月16・17日
    CNA実習@病棟

    プログラム修了

  • 12月20日
    州試験〈筆記試験〉受験、合格
  • 12月21日
    州試験〈実技試験〉受験、合格
  • 12月28日
    HR(人事)スタッフとメールや電話でやり取りし、面接日を決定
  • 翌年1月4日
    面接

    病棟でのシャドーの機会を問われ、是非と返答

  • 1月9日
    病棟でシャドーを実施
  • 1月10日
    内定メールを受信

    勤務形態や給与を確認し、内定を受ける旨を先方に連絡

  • 1月29日
    CNAとして勤務開始!

    内定メールを受信してから勤務までの間、健診を実施する必要がありました

私は約3か月CNAになるために時間を要しました。もし日本にいる方でCNAを目指す方は、CNAプログラムの学校調査や、履歴書の作成などが日本在住時でも出来るかなと思います。

CNAでしかもフルタイムで働くスタッフは重宝されるので、求人は常時多くあると思います。

中には応援CNAという病院内の複数の病棟で働くCNAポジションもありますので、自分に合った働き方・働き場所を見つけてくださいね。

おわりに

今回は、CNAプログラムの授業内容や州試験について詳しくお伝えしました!

州によって多少カラーはあると思いますが、基盤となる部分は同じかなと思いますので、概要はこんな感じか~!と理解していただけましたら幸いです。

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