こちらの記事ではアメリカでCNAになるにはどのような手順を踏んでいく必要があるのか説明します。
CNAになるには州資格が必要
日本とアメリカの看護助手の業務内容は異なる部分がありますが、日本は資格なしで看護助手として働くことが出来る反面、アメリカでは州試験に合格する必要があります。資格か…と思う方もいるかと思いますが、正看護師(RN)やLPN(准看護師)取得に比べると、短期間+低コストで取得することが出来ます。
各国のRN、LPN、CNAの資格取得に必要な期間・条件
日本 | アメリカ | |
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正看護師(RN) | 3年以上の専門課程(専門学校や大学)もしくは中学卒業後に5年の看護師養成課程を修了する必要があり、国家試験に合格することで免許を取得できる | 看護学位取得後にNCLEX-RNという国家試験に合格することで免許取得できる |
准看護師(LPN) | 准看護師学校で2~3年間の課程を修了する必要があり、都道府県ごとの試験に合格することで免許取得できる | 1-2年のLPN養成プログラムを卒業し、NCLEX-PNという国家試験に合格することで免許取得できる |
看護助手(CNA) | 資格不要 | 州認可のCNAプログラムに参加し、州試験に合格することで免許取得できる |
CNAは州によって研修時間が定められていますが、ウィスコンシン州の場合は約100時間程度の座学+実技トレーニング+16時間の実習に参加することが修了書取得の条件でした。修了書取得後にCNAの州試験を受験し合格すれば、晴れてCNAとして働くことが認められます。
CNAは更新【要】の資格
CNAの資格を取得しても、その資格だけで永遠と働ける訳ではありません。RNやLPNも永久資格ではないですが、CNAの資格有効期限は2年です。更に、その2年以内に一定時間以上CNAとして勤務実績があること、州が定める勉強会に参加することが更新の条件となっています。そのためCNAとして働く予定のない方は、2年後に資格更新が出来ない可能性が出てくるため注意が必要です。
CNAになるためにはいくらかかる?
気になるお金問題についてですが、州や学校によって授業料は多少変わってきます。が、なんとなんと無料でCNAになるチャンスもなくはありません!CNAを必要とする施設によっては人手不足のためにCNA研修を全て施設が受け持つ代わりに、資格取得後はその施設で働く、というケースもあります。実は私も数回そのような施設に応募してみたのですが、返信がなかったり、返信があったとしても不採用となったため学校に通うことにしました。また、CNA研修を受け持つ施設というのは、総合病院のような施設ではなく、Long Term Care施設(日本でいう特別養護老人ホームのような施設)が人手不足を補うために募集しているケースが多い印象です。
CNAプログラムの授業料の相場は?
CNAプログラムの授業料の平均は約500~1700ドル程度と言われていますが、テキストや諸雑費など合計すると約800ドル以上は用意しておくと良いと思います。私が通ったBellin CollegeのCNAプログラムは2023年10月時点で747ドル(テキスト代・雑費込)でした。
授業量以外の出費は?
その他の出費としては、大きく2点ありました。
- 予防接種や抗体検査の費用
- スクラブ・シューズなど実習にかかる費用
1.予防接種や抗体検査の費用に関しては、日本の医療系学校や医療職現場で働く機会があれば当たり前かと思いますが、「抗体を持っている証明」が日本とは一味違うことを痛感しました。というのも、私は病院勤め+アフリカ渡航歴があり自身の免疫抗体にはかなり自信があったのです。更にグリーンカード取得のために用意した予防接種記録や感染症罹患記録など専門職者が作成したものを所持していたため、簡単にパスできるだろうと思っていました。
しかし、まるで履歴書のような私の抗体記録もアメリカの医療機関の前に立てば二流三流もいいとこで、2つの指摘を受けました。まず1つ目「水疱瘡罹患歴は抗体の証明にはならないから、抗体検査を実施すること。抗体値が基準以下だったらワクチン接種してね;)」とのこと。そうです、私は幼少期に水疱瘡にかかり、それ以降日本では「水疱瘡抗体保持者」として扱われていたのです。そのため水疱瘡の抗体値チェックは実施したことがなく、泣く泣く抗体検査を予約し、2~3時間かけて都市へ行き抗体検査を受けました。費用は勿論保険適応外、200~300ドル程度支払うこととなりました。
2つ目の指摘としては「結核の予防接種を受けているみたいだから胸部X線検査で罹患していないことを証明してね;)」でした。BCGワクチン済の私は「結核の抗体あり」として扱われ、罹患有無の判定として胸部X線が必要だと説明されました。日本では大学・職場でX線検査をしていたため、わざわざ外部でX線だけを撮ってもらうという経験はありません。更にここはアメリカ、莫大な検査費用がかかるのではとかなり焦りました。しかし、グリーンカード取得のために胸部X線を撮っていたことを思い出し、健診を受けた病院へ連絡・専門家の画像所見を送ってもらうことで学校からOKを貰うことが出来ました。「日本の病院で大丈夫だったからこっちの病院でも大丈夫!」と思うのは良くないですね。
2.スクラブ・シューズなど実習にかかる費用では、2日間の実習で使用するユニフォームの準備・費用のことを指します。学校によっては指定のスクラブがあるようですが、私が通った学校ではなかったため、近所の医療系専門職ショップへ行き、スクラブを調達しました。色指定や形指定はなく、ポケットが多めについているストレッチ素材のスクラブを2着購入しました。相場は地域によって異なる可能性がありますが、トップス・ボトムスの1セットで約60~80ドル程度あれば購入することができます。シューズやソックス、ロングヘアの方はヘアゴムやヘアクリップなども揃える必要があるため、約200ドル程度は準備しておくと良いかもしれませんね。
州試験の費用は?
CNAの州試験は筆記と実技の2つの試験があります。双方を合格することでCNAとして晴れて働くことが出来ます。
どの試験を受けるかによって価格は異なりますが、ウィスコンシン州の場合、筆記試験が32ドル、実技試験が93ドルでした。筆記試験はオンラインでZoomを繋ぎながら実施のため交通費はかからず、実技試験はプログラムに参加した学校で実施したためご近所で受験することができました。
アメリカにいると金銭感覚がずれてきますが、日本の看護師国家試験は5000円程度のため、大分高めの価格設定ですね。
現地ではどんな人がCNAプログラムに応募するの?
CNA参加者の内訳は?
CNAプログラムの参加者は州や地域によって様々ではあると思うのですが、私が参加したプログラムでは、約90%が高校生(一部大学生)でした!大人でプログラムに参加したのは、私含めて20人数人中2人だけでした。
その理由として、アメリカの医療系キャリアラダーの1番最初がCNAだからという点があります。経験が進学・就職でものを言うアメリカでは、経験を積むために多くの学生が将来自分が付きたい職業に関するバイトを実施する傾向にあります。CNAは高校生でも出来る上、初めの一歩として持ってこいの仕事なのです。
CNAからRN(もしくはLPN)、そしてNP(Nurse Practitioner)と徐々にキャリアを積んでいく人が多いのです。中にはMD(Medical Doctor)を目指すためにCNAから始めるという高校生もいました。
そのため、高校生の約2倍の年齢である私は、正直アウェイ感に苛まれながら日々の授業を熟していくほかありませんでした😭
プログラムが開催されるタイミングは?
プログラムが開催されるタイミングは教育機関によると思いますが、Nursing Schoolなどの学部の授業などと比較すると、1年中いつでも参加できるタイミングがある印象です。Fall、Springの時期であれば、参加できる学校が多いのではないでしょうか。SummerやWinterも開講している学校も数多くありますので、まずは情報収集をしてみることをお勧めします。
プログラムの期間は?
プログラムの期間も教育機関によって様々です。私が参加したものは10月下旬にスタートし、12月中旬に修了しました。15:30~20:00の1日4時間半を週3日授業し、約2か月程度かかりました。
教育機関によりますが、プログラムは約4週~12週程度で構成されるところが多いです。そのため、自身の生活リズムや就活時期に応じて学校を選ぶと良いと思います。
高校生向きのCNAプログラムは、基本的に高校の授業終わりの時間帯以降にCNAの授業が始まるようアレンジされている機関が多いかもしれませんね。そのため夕方~夜に授業が開講されるかもしれない、と準備しておくと良いと思います。
CNAプログラムにどのように申し込めば良いの?
CNAプログラムに申し込むには、プログラムを提供する学校のホームページから直接アプライします。オンライン検索で「CNA program 都市名 州名」などと検索すれば該当するプログラムが出てくるはずです。
申し込み時にデポジットを払う必要がある場合があるので、予めクレジットカードの準備をしておくと良いと思います。
申し込みをして晴れてプログラムに参加できる場合、先方の教育機関からメールや電話等でコンタクトがありますので、その指示に従って授業料の納付やオリエンテーション日など諸々確認すると良いと思います。
おわりに
以上、今回はCNAになるためにかかる費用や学校にアプライする方法までをお伝えしました。
次回は実際のCNAプログラムの授業の様子や州試験の内容をお伝えしていきます!