こんにちは!リルです。
現在もCNAとしてまったり働いています♪
こちらでもちらっと紹介したのですが、CNAの業務の一つとして「カルテを入力する」という業務があります。
日本の看護助手さんはカルテにアクセスできないので、その点は日米の医療現場の異なる部分ですね。
今回は、私が働いている病院での実際のカルテ記録項目や、日本との違いについてご紹介していきます😊
アメリカと日本のカルテってどんな違いがあるの?
私は日本では「HAPPY ACTIS(アクティス)」という電子カルテを使っていました。アメリカで働いている今は「EPIC(エピック)」というカルテを使用しています。
カルテはメーカーごとで特色や使い勝手は勿論異なるので、慣れるまで大変ですよね😂そんな中でも日本とアメリカのカルテの特色は以下のものがあるかなと思います。
日本:
- 看護師が患者ごとに個別に看護計画やオーダーを立てる
- 看護助手は記録しない
- 紙記録を使用している場所も中にはある
- パソコンから入力する
- パソコンにバーコードリーダーを取り付け、そこから薬剤や採血を認証
- 写真をカルテに載せるのは容易ではないため、紙を使った経過用紙を使用
- 内服や点滴は未だに紙ベースで指示確認やWチェックを行っている病院も多い
アメリカ:
- 看護オーダーの入力はしていなそう(見たことがないだけでもしかしたら実施してるかも)
- CNAもカルテ記録を実施する必要がある
- 標準化された記録項目に沿って、全患者を同様に記録
- パソコンもしくはスマホから入力することが出来る
- 薬剤や採血などの認証は基本スマホを使用
- スマホで取った傷などの写真をすぐにカルテにアップロードできる
- カルテ上のアバターにドレーンや点滴、創傷などを細かく記すことが出来る
- 医師のオーダーや薬剤情報は全てカルテで管理されている
ちなみに、CNAはRNほど情報の閲覧権限はありません。そのため詳細な病状やADLまでは把握できないため、ケアに必要なADLや認知レベル、その日のスケジュールなどはRNに確認する必要があります。
スマホで完結するアメリカの記録スタイル
アメリカでは、スタッフ1人1台スマホを携帯しており、以下のような業務がすべてスマホで完結できます:
- バイタルや水分出納、ケア記録などのカルテ入力
- 投薬・採血・点滴のスキャン(バーコードリーダー)
- ナースコールの応答やスタッフ間の報連相
PCからの入力も可能ですが、CNAの場合は入力項目もすごく多いわけではないので、スマホ入力の方が圧倒的にスピーディーで効率的です。
特に患者のバーコードスキャンによる確認はベッドサイドでその場で完結するため、医療安全の観点でも◎です。
また、患者さんに何か異変があった時は、スマホを使ってすぐにRNに連絡することも出来ます。
RNもSWATや呼吸療法士などにスマホで電話することをよく見かけます。
連絡ツールを常に携帯できるのは非常に大きなメリットですよね🤭
CNAはどんなことをカルテに入力するの?
ここからは、実際に私が記録している主な項目をご紹介します!
1. Vital Signs(バイタルサイン)
- 血圧(BP)
- 脈拍(HR)
- 呼吸数(RR)
- 体温(T)
- 酸素飽和度(SpO2)
- 身長・体重
- ポジションによって血圧を測る「起立性低血圧」チェック(座位・立位・臥位)
しかも、血圧の場合は「どこで測定したか」「機械による測定か、聴診法による測定か」なども記録します。体温の場合は「口腔内か腋窩か直腸か」などの記載箇所があります。
このように、数値だけでなく、どこでバイタルを聴取したのかも明確に分かるため、RNも安心してVS測定をCNAに任せることが出来るのではないかなと思います。
2. Intake / Output(水分出納)
- 飲水量(水やジュースなど)
- 食事量(何%食べたか、炭水化物量、サプリメントドリンクの摂取量なども記録)
- 尿量(量や色、においなども記載)
- 排便(量や色だけでなく、Bristolスケールでの記録箇所もある)
- 嘔吐の有無と量、内容(食べ物っぽい?胃液だけ?なども選べる)
👉 特にICUや循環器の患者さんでは、一日の水分出納(I&O)がとても重要なので、RNやドクターもよく確認するポイントです。
3. Daily Care & Activity(ケアやリハビリの記録)
CNAは訪室ごとに以下のようなルーチンケアについてチェック・記録を行います。
- トイレを促したか(トイレ誘導)
- 痛みの確認(Pain scaleで記録)
- 環境整備を行ったか(ベッド周りの安全確認など)
また、歩行介助を行った場合には、以下のような詳細もEpic上で記録します:
- 介助が必要だった人数(1人介助、2人介助など)
- 使用した歩行補助具(歩行器、杖、メカニカルリフト等)
- 実際に歩いた距離や範囲(廊下の半分、ナースステーションまで等)
- 活動中の身体症状(めまい、息切れ、疼痛など)
さらに、記録欄には以下のような項目もあり、状態を多角的に把握することができます。
- アラーム設定(ベッド・チェアのアラームON/OFF)
- 冷罨法や温罨法(アイスパック、ホットパックの使用)
- 体位交換の時間
- 清潔ケアの実施(オムツ交換、口腔ケア、入浴など)
これらをこまめに記録することで、RNや他職種が患者の状態変化を把握しやすくなるのがアメリカ医療の特徴です。
4. 入院・転棟・退院時の持ち物チェック
CNAが記録する意外な項目のひとつに、「患者の持ち物チェック」があります。これは入院時・転棟時・退院時など、患者の移動のタイミングで必ず確認されます。
チェック項目例:
- 義歯、眼鏡、補聴器の有無
- スマホやタブレット
- 内服薬の持参有無
- CPAPや杖などの持参有無
- 貴金属や時計などのアクセサリー
👉 紛失トラブルを防ぐため、患者の入退室時の記録がとっても重要です。
5. CNA Prep:処置前の準備も記録対象
処置前に必要なケアもEpicで記録します。
- CHG(クロルヘキシジン)清拭:中心静脈カテーテルや手術前などに実施
- 剃毛:手術やドレッシング前の準備として
- 実施日時や対象部位などを記録することで、感染対策や術前準備のトレーサビリティが確保されます
実際の運用感と「カルテ記録の質」
私は訪室のたびに「I&O・Daily Care・Activity」などすべて丁寧に記録するタイプですが、実際にはCNAごとに記録の質に差があります。
- 食事量を記録しない
- 歩行したのにアクティビティを空欄にする
- 排尿・排便の回数だけ入力して内容はスキップ
特に循環器病棟ではI/Oバランスの評価が重要なのに、RNたちが「データが足りずに困っている」場面も少なくありません。
中には高校生インターンのような若いCNAも勤務しており、経験値によってばらつきがあるのも現実です。
「書いたかどうか」ではなく、「書かなければ“やっていない”と見なされる」文化があるのもアメリカなので、CNAによっては当たりはずれがあると感じるRNも多くいるようです。
デリゲート(指示だし)をするRNも大変ですね。
おわりに
CNAの仕事は「患者さんのお世話」だけではなく、その内容をしっかり記録に残すことも大切な役割です。
日本と比べて「CNAの責任」が大きく見えるかもしれませんが、その分チームの一員として信頼されるやりがいも感じられます。
「記録するCNA」のリアル、少しでも伝わったら嬉しいです!